【動画】米ミネアポリスにある「ジョージ・フロイド・スクエア」=遠田寛生撮影

米ミネソタ州ミネアポリスにある「ジョージ・フロイド・スクエア」。フロイドさんが殺害された場所は、現在は「名所」になっている=2024年5月22日、遠田寛生撮影

 米ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさん(当時46)が、白人警官に首を圧迫されて死亡した事件から5月で4年がたった。「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切だ)」運動が再燃する契機となった地では、今もなお「闘い」が続いている。(ミネアポリス=遠田寛生)

 5月22日、フロイドさんが殺害された現場付近には、多くのアート作品や花束、ぬいぐるみなどが置かれていた。フロイドさんの大きな似顔絵が壁に描かれ、近くの空き地には警官の手によって死亡したフロイドさんら130人以上の名を刻んだ「墓地」もある。

 現場は彼の死を悼む「広場」、通称「ジョージ・フロイド・スクエア」となり、世界から観光客が来る「名所」になっている。

 近所に住む高校の英語教師マルシア・ハワードさんは、地域の人たちと24時間のシフト制を組み、広場を監視する「番人」だ。過去に広場を撤去しようとする反対派の動きや、展示物を荒らしたり燃やそうとしたりする事件があったためだ。広場は、市バスが本来通る道路をふさいでいることもあり、誰もが歓迎しているわけではない。

 不用になった本を自由に読むことができる「みんなの図書室」には、何かを燃やした形跡があった。広場の一角にあるガソリンスタンドの跡地では定期的にピアノ演奏による癒やしのイベントが開かれるが、「観光客に分からないよう、鍵盤だけ持っていかれる。だから今のピアノは『4代目』なんだ」という。

理解増えた日常、変わらない状況

 「息ができない」。何度も訴えながら殺害されたフロイドさんの事件は、米国にとって転機になったと感じている。「黒人というだけで殺される、私たちの日常的な現実が映像で流れた。世界で私たちを信じてくれる人が増えた」

 ただ、黒人を含めた有色人種への差別が減った実感はない。「むしろ米国は後退した。より不公平、不公正になった。10年後はどうなるのか」と憤りを隠さない。

 地域の治安や環境の改善につながる24項目を実施するよう市などに要求している。すべて達成されるまで地域の仲間とこれからも活動を続けるつもりだ。「体が息をする限り私は闘う。ここは私の生きる場所だから」

「巡礼プログラム」が人気に

 別の形で「闘っている」人たちもいる。

 現場の近所に住むジェネル・…

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