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 管理栄養士をめざす東海学院大学(岐阜県各務原市)の学生たちが、郡上市内で獣害対策として駆除された鹿肉を使って2種類の「ジビエフランク」を考案した。地元の食材も生かしたオリジナル商品。学生たちは「新たなご当地グルメとして売り出し、地域を盛り上げたい」と意気込む。

 同大学管理栄養学科は昨春から、高齢化による深刻な後継者不足に直面している、郡上市白鳥地区にある六ノ里棚田の保全活動に参加してきた。

 県の「若い力で元気創出ふるさと支援事業」にも採択され、学生たちは毎月のように現地を訪れ、田植えや稲刈りなどを体験。収穫した棚田米を使ったポン菓子のほか、学生が育てた規格外のニンジンを入れた甘酒をつくり、イベントなどで販売してきた。

 活動の中で、棚田の周辺ではシカによる農作物の被害が深刻化していることを農家から聞いた。

 レシピの考案は、学生たちの得意分野。「鹿を、獣害被害というマイナスからプラスの存在にしよう」と盛り上がり、地元で駆除された鹿肉を利用したジビエフランクの開発に乗り出した。

 協力したのは、同市八幡町の「西和良ジビエファーム」。鹿肉独特の臭みやパサパサになりがちな食感をなくすため、試行錯誤した。フランクは2種類で、つなぎには学生が提供したニンジンピューレと県内産の豚肉を使用した。

 一つには大葉と郡上なんばん、郡上みそを入れてコクのあるピリ辛味に仕上げた。もう一つは子どもにも食べやすくするため、カレー粉やターメリックなどの香辛料を効かせたカレー味にした。味だけでなく、栄養成分にもこだわった商品だ。

 標高600メートルにある棚田は昼夜の寒暖差が大きく、甘みのある米が特徴。それを最大限に生かした「六ノ里棚田米甘酒」も開発した。

 フランクや甘酒は、10月1日から郡上市内の道の駅で順次販売を始めている。大学が運営するキッチンカーでも提供していくという。

 学生たちは「食べやすい味になっていて、世代を超えて楽しんでほしい」「獣害としてのマイナスイメージを振り払い、日本全国、世界においしさを発信していきたい」と話している。(松永佳伸)

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