現代歌人協会賞を受賞した金田光世さん(右)と久永草太さん=東京都千代田区、佐々波幸子撮影

 歌人の登竜門として知られる第69回現代歌人協会賞(現代歌人協会主催)に、金田光世さん(44)の「遠浅の空」(青磁社)と久永草太さん(27)の「命の部首」(本阿弥書店)が選ばれた。東京都内で6月下旬に開かれた授賞式で、2人は一首を生み出す道程に触れながら、抱負を語った。

 金田さんは高校時代に短歌に出会い、短歌結社「塔短歌会」に入会。「歌を作るということは、自身の思考へ深く潜りつつもどこか遠くへ飛ぶような感じであり、未知と向かい合う力を少しずつ身につけさせてもらった」と振り返り、〈空の穴押さへて吹けばりゆうりゆうと夕闇は来る海の底より〉という自作を挙げた。「作歌をすること、その時間に没頭することは、私自身の生きる時間における動きがたい現在地から自身を解放し、その途方もなさにひるむことなく言葉をつかんでいく作業」と言い、「生きて言葉を持つかぎり、未知の羽を得て作歌を続けていければ、この上もなく幸せです」と話した。

 久永さんは獣医師で、短歌結…

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