静岡県牧之原市では5日午後、台風15号の通過に伴い猛烈な雨が降り、突風による被害が出た。5日午後8時時点で県内では24人が重軽傷を負った。現地に入った記者は、広い範囲で家屋が倒壊する様子を確認した。

突風で屋根などが壊れた民家=2025年9月5日午後5時4分、静岡県吉田町、戸村登撮影

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 牧之原市に向かう途中、吉田町では信号機が消灯し、地元の人たちが交差点に立って交通誘導をしていた。やがて、2階建ての一部や、屋根瓦が吹き飛ばされた複数の民家が目に飛び込んできた。水田の中に立つ2軒の民家はとりわけ傷みがひどかった。うち一軒は瓦が飛んだだけではなく、屋根の構造がむき出しになっていた。

突風で屋根などが壊れた民家=2025年9月5日午後5時2分、静岡県吉田町、戸村登撮影

 牧之原市細江では、屋根瓦が飛び、窓ガラスが割れた家屋が何軒も目に入った。鉄工所を営む藤田孝和さん(65)方では、倉庫が道路に横倒しとなり、道をふさいでいた。藤田さんは「あんな風は吹いたことがない。事務所の中に避難するのが精いっぱいだった」と振り返った。

突風によって舞い上がった瓦などで窓ガラスが割れた民家=2025年9月5日午後6時10分、静岡県牧之原市細江、戸村登撮影

 同市細江の会社員、田中伊佐雄さん(68)の木造2階建ての自宅は、窓ガラスが割れて、ブルーシートで覆われていた。田中さんは「午後1時ごろ、ゴォーという音がして、外の様子を見ようと、窓ガラスに近づくと、屋根の瓦やスレートが風に舞って、ぽんぽんぽんと家の中に飛び込んできた」という。「もう一歩前に出ていたら、確実にけがをしていた。パニック映画を見ているような感じだった」と話した。

日が暮れると、ほとんどの家で明かりがともっていなかった。停電の影響とみられる=2025年9月5日午後6時59分、静岡県牧之原市細江、戸村登撮影

 突風の被害を受けた家の人た…

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