横浜―津田学園 三塁塁審を務める北田直也さん(中央)=滝沢美穂子撮影

 高校野球で春夏の甲子園大会を支えてきた2人の審判委員が、今夏を最後に甲子園でのジャッジを終えた。21日の準決勝、大槻康彦さん(54)は第1試合で、北田直也さん(52)は第2試合でそれぞれ一塁塁審を務めた。

甲子園決勝も、地方大会1回戦も同じ

 大槻さんは30年前、職場の先輩にお願いされ、京都府の高校野球の審判を引き受けた。球歴は中学まで。「当時は野球の細かいルールを知らなかったし、続かないと思った」

 選手の真剣なプレーを見て思いが変わった。「やるなら真剣に」。複雑なプレーは公認野球規則を読んで復習し、先輩に相談もした。第85回大会(2003年)で初めて甲子園の土を踏み、今春の選抜大会は決勝で球審を務めた。

 「甲子園の決勝も、地方大会1回戦も同じ」と1球、1プレーに集中してきた。これからも京都府内でジャッジし続ける。「審判はもう一つの人生。生きがいになりました」

基本を大事にしていた

 北田さんは第90回記念大会(2008年)で派遣審判としてデビューした。「自分の判定で高校生たちが現役を終えるかもしれない」と、常に怖さがつきまとった。

 印象深いのは18年の第100回記念大会、星稜(石川)―済美(愛媛)だ。十三回、済美の矢野功一郎選手が放った右翼ポール直撃の逆転満塁サヨナラ本塁打で、一塁塁審として腕を回した。「絶対にボールから目を切らないという基本を大事にしていたからこそきっちり判定できた」

 審判の醍醐味は「一生懸命な選手たちに、そばで寄り添えること」。今後は地元の和歌山で若手の育成に携わりながら、審判と甲子園の素晴らしさを伝えていく。

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