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連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:黒人編①

混迷を歩く 黒人編

 米南部サウスカロライナ州コロンビアは、かつて黒人差別撤廃を求める公民権運動の拠点にもなった州都だ。北へ車で30分走ると、ウィンズボロに着く。

 クラレンス・ポーリングさん(49)はこの小さな町で、64年続く家族経営の理髪店を切り盛りしてきた。店の入り口には、民主党のオバマ元大統領のステッカーが貼ってある。

 米国の黒人有権者はこれまで、民主党の堅い支持基盤とされてきた。黒人のポーリングさんも選挙のたび、民主党候補に投票してきた。「なぜ民主党支持なのか? 両親がそうだからと言うしかなかった。そう生まれついたから。うちの家の男たちが髪の切り方を学ばなければならないのと同じで、義務だった」

トランプ氏に投票すると決めた

写真・図版
おじが経営する理髪店で働くクラレンス・ポーリングさん=サウスカロライナ州ウィンズボロ、下司佳代子撮影

 しかし、そのポーリングさんが、11月の大統領選ではトランプ氏に投票すると決めたという。

 11月に大統領選を控えた米国で、伝統的に民主党を支えてきた黒人有権者の民主党離れが進み、差別的な発言を繰り返してきた共和党のトランプ前大統領に投票してもいいと考える人が増えているという。何が起きているのか。

 「卵、牛乳、チーズ、シリア…

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