Smiley face
企業側に留学生だと決めつけられ、採用説明会への参加を拒否された海外ルーツの日本人学生。「この名前、外見さえなければと思ってしまった」と振り返った=2024年5月23日午後7時39分、東京都内、小川尭洋撮影
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 《大変申し上げにくいのですが、弊社では留学生さんの採用はおこなっておりません。誠に申し訳ありませんでした》

 え? 留学生さんって? わたし、日本人なんだけど……。

 5月中旬の朝、専門学校生の女性(20)は、新卒採用向けの就活サイト上でメッセージを受信し、戸惑った。

 送り主は、選考にエントリーしたコンサル企業の人事担当者だった。

 そもそも国籍のことを伝えていなかったので、「カタカナで始まる自分の名前が原因なんだろうな」とすぐに気がついた。

 学生はナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、国籍は日本だ。

 姓は父から受け継ぎ、ひらがなのファーストネームは母が「愛らしく」、カタカナのミドルネームは父が「幸せに生きてほしい」という思いを込めて名づけてくれた。

 両親の思いが詰まった名前はお気に入りだった。

 日本で生まれ育ち、ナイジェリアに行ったことはない。

 ルーツの一部はナイジェリアにあっても、アイデンティティーは日本だという自信があった。

 「この名前でなければ、言われなかったんだろうな」

 あふれる涙をぬぐいながら、返信を打ち始めた。

 《結論から申しますと、私は日本人です。(中略)名前のみで外国人だと判断されたこと、非常に残念に思っております》

 《見た目や名前で外国人であるか否かを判断するのはとても失礼なことです。今後二度となさらないようお願いいたします。今回は貴社へのエントリーは辞退させていただきます》

 そして、小さいころから「よそ者」扱いされてきた記憶がよみがえってきた。

ルーツの多様化が進むなか、就職などでの差別や偏見に苦しむ人がいます。後半では、厚生労働省の対応などを紹介します

 「なんで肌が黒いの?」「髪…

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