コメの価格の高止まりが続いている。政府は今春から備蓄米の放出を始めたが、スーパーに並ぶ5キロ入りのコメは4千円を超え、前年のほぼ2倍で推移している。生産農家からは消費者のコメ離れや、今後の暴落を懸念する声が聞こえてくる。「異常事態」はなぜ起きたのか。
発生していた「コメの奪い合い」
昨年の夏、各地のスーパーからコメが消えた。「令和の米騒動」だ。
予兆はその3年前からあった。農林水産省の統計で、2021年産のコメの生産量が需要を下回り、23年産で一気に広がる。661万トンの生産量に対し、需要量は705万トンに達した。
23年は全国で猛暑や渇水に見舞われた。コメのでき具合を示す作況指数が、米どころの新潟や秋田でも「やや不良」。精米するとコメが細り、白濁や粒の割れなど品質も低下し、商品として出せないコメも多かったといい、卸会社の担当者も「例年よりも白米の流通量が少ない」と話していた。
追い打ちをかけたのが、昨年…