「日向大谷コース」の序盤にある岩壁を登る山岳救助隊員ら=2025年8月6日午前10時17分、両神山、折井茉瑚撮影

 山と親しみ、恵みに感謝する「山の日」。ただ、一歩間違えると命を落とす危険も潜み、山の事故は後を絶たない。埼玉県警の山岳救助隊の訓練を兼ねたパトロールに同行し、登山初心者の記者(23)が埼玉県西部の奥秩父にある両神山を登ってみた。

 両神山は日本百名山のひとつ。標高は1723メートル。都内からでも日帰りで登頂できるので毎年多くの人が訪れる。今回は三つあるコースのうち、中難度の「日向大谷口」から登った。

 午前9時半。小鹿野署の山岳救助隊員と登り始めた。道幅1メートルにも満たない山道が続く。いくつも転がる大きな石につまずき、道から足を踏み外せば一気に数メートル下の急斜面に落ちそうだ。

 実は、ここ両神山は県内の山でも1、2を争うほど滑落や道迷いなどが起きていた。県内の山岳事故が過去最多の94件だった2023年、両神山が2割近い17件と突出して多かった。だが、今年は1件もない。一体なぜか。

 山道を登っていると、木々の…

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