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新しくなった常設展示室=盛岡市の石川啄木記念館、三浦英之撮影
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 近代短歌の革新者・石川啄木(1886~1912)の顕彰や資料展示などを目的とする「石川啄木記念館」(盛岡市)が13日、リニューアルオープンした。大規模改修のため2023年5月から休館していたが、玉山歴史民俗資料館との複合施設として生まれ変わる。どのような展示が見られるのか。藤原安生館長(61)に聞いた。

 改修のポイントは?

 記念館は1970年に開館しましたが、建物は啄木がかつて理想の「家」を詩に託した白い西洋風の家をイメージし、生誕100年を記念して86年に建てられたものなので、外観についてはあまり変えず、常設展示室を大幅に改修しました。

 啄木の人生を時系列に沿って紹介。直筆書簡や遺品、写真パネルなどを配置し、啄木の歌や言葉を通じて、文学や故郷・渋民への思いに触れることができる展示になっています。

 また中央に巨大なスクリーンを設置し、啄木の人生や故郷への思いなどをアニメーションや音声で学ぶことができます。啄木の作品や資料など約1万冊をそろえ、蔵書の閲覧や情報検索ができるコーナーも備えました。

 展示を見てどのようなことを感じてほしいですか?

 併設されている民俗資料館では、啄木が暮らした渋民をはじめとする玉山地域の風土や暮らしを知ることができます。また、記念館のすぐ近くに「道の駅もりおか渋民」が26日にオープンし、レストランや産直で新鮮な農作物や地元特産品を味わえます。

 記念館の敷地内には従来通り、啄木が幼少期に通った「旧渋民尋常小学校」や、一家が間借りした旧斉藤家が移築されており、雄大な岩手山が来館者を迎えます。

 《ふるさとの山に向ひて/言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな》。啄木の有名な歌で、山は岩手山とも姫神山ともいわれますが、短歌の限られた音数の中に「ふるさとの山」という7音を2回も使うほど、啄木は故郷の山を愛していました。

 展示や彼の言葉だけでなく、五感を通じて啄木の魅力や渋民の素晴らしさを多くの人に感じてほしいです。

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