2030 SDGsで変える

 国際科学者組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」が12月、2本の報告書を発表した。持続可能な社会づくりに取り組む各国政府や自治体、企業などにとって、行動の手がかりとなりそうだ。

ナミビアで開かれたIPBES総会=IPBES提供
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 IPBESは生物多様性に関して、世界中の論文などを集めて、様々なテーマで、現状の評価や有効な対策をまとめて報告書を発表。報告書は各国の政策にも活用される。気候変動対策に科学的根拠を提供する国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)になぞらえ、「生物多様性版IPCC」と呼ばれることもある。

 2016年以降、報告書をほぼ毎年まとめている。19年には「地球規模評価報告書」を公表。世界の動植物800万種のうち、100万種が近い将来絶滅する危機にあるなどと警鐘を鳴らした。

 その際に、30年までのSDGs(持続可能な開発目標)や、生物多様性条約が50年までにめざす「自然と共生した社会」の達成は、社会変革なしにはできないことを強調。「環境危機の背景にあるさまざまな要素の相互連関についての理解向上」と「人間と自然の関係についての新たな規範」が社会変革に重要だとも指摘していた。

こちらを立てればあちらが立たず、どうすれば

 そんな指摘を踏まえて、IPBESが今回公表した2本の報告書が「ネクサス評価報告書」と「社会変革評価報告書」だ。

 「ネクサス」では生物多様性…

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