連載「HANABI」第8部 未来へ紡いでいく(2)
38年前の夏、花火師を紹介するテレビ番組が全国に中継された。リポーターが20人ほどの従業員に質問した。
「さて、みなさん。5代目は、4代目を超えると思いますか」
- 【連載(3)】火を消す側から火をつける仕事に 名門に婿入りした元消防隊員の覚悟
だれ一人、手を挙げない。申し訳なさそうに、パートの女性がひじから先だけ曲げた。他はあさっての方向に顔を向けたままだ。
入社間もない5代目の小松忠信(61)はうつむくしかなかった。
ことし創業140周年を迎えた秋田県大仙市の「小松煙火工業」。歴史は古く、1933(昭和8)年に刊行された旧角間川町報「御巡幸史」はこう記している。
「社長の息子だからって、なんだ」
烟火(えんか)を揚(あ)ぐ…