希望が丘の長崎詠音遊撃手(左端)と江藤諒哉二塁手(右から2人目)=2024年7月8日午前11時0分、筑豊緑地、太田悠斗撮影

 (8日、第106回全国高校野球選手権福岡大会3回戦 希望が丘1―2東筑)

 1点リードされて迎えた九回表、1死一塁。センターに抜けそうな当たりを、希望が丘の遊撃手、長崎詠音(えいと)選手(2年)が回り込んでキャッチ。素早く二塁手の江藤諒哉選手(3年)に渡し、併殺に仕留めた。「やったな」。2人はハイタッチしてベンチに戻り、反撃に備えた。

 1学年違うが、中学も同じクラブチームで二遊間を守り、仲良しに。江藤選手の後を追って長崎選手も希望が丘に入り、昨夏、互いに今のポジションについた。準決勝まで勝ち進み、迎えた東筑戦。守備の乱れから相手に流れが傾き、敗れた。

 その夏は2人で泣きながら練習した。「こんな悔しい思い、したくないよな」。江藤選手が声をかけ、「福岡一の二遊間」を目指すと決めた。特訓を始め、特に併殺に力を入れた。走者を背負う苦しい場面で、流れを変えられるからだ。どこに球が飛んだら、互いにどう動くか。グラウンドだけでなく、ともに住む寮でも消灯時間間際まで話し合った。次第に、チームのスコアブックに併殺の表記が増えていった。

 「東筑に勝って甲子園に行く」と誓って臨んだ今大会。この日、雪辱の機会が訪れた。2人は安定した守備でチームを支え、最後まで相手に流れを渡さなかった。「最後にゲッツーが取れて良かった。悔いはありません。あとは詠音に託します」。長崎選手のそばで、江藤選手は話した。(太田悠斗)

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