お年寄りや障害者から「営利とは認められない範囲」の利用料金をもらい、自家用車で送迎する「福祉有償運送」が曲がり角を迎えている。利用者の高齢化が進み需要が増える一方、ボランティア運転手も高齢化して新たななり手の不足が深刻だ。関係者からは、行政のより一層の関与を求める声が上がっている。
支援や補助求める声高まる
和歌山県橋本市高野口町向島の有馬順子さん(85)は週2回、NPO法人「ささえあい橋本」の福祉有償運送のサービスを利用して4㌔離れた整形外科医院まで通っている。利用料金は距離に応じて片道400円と、タクシーなどに比べて格安だ。
有馬さんを自家用車で迎えに来たのは、ささえあい橋本の松島信男さん(73)。福祉有償運送の運転手歴は8年。乗降時の段差を和らげるため、木製の踏み台を車内に常備している。
有馬さんは「一人暮らしで、近くに頼れる身内がいないので、とても助かります」と話す。
市内最大の福祉有償運送の実…