結成20周年を迎えるアイドルグループAKB48を、衣装担当として支え続けているのはデザイナーの茅野しのぶさんだ。
20年間で作った衣装は4万着。「映画のクライマックスのような感動的場面に何度も立ち会えた。何よりのやりがいだった」
6月には、衣装へのこだわりや半生をつづった著書「アイドル衣装のひみつ~カワイイの方程式~」(Gakken)を出版した。
自分に自信がなかった高校時代、先生から「服づくりの才能があると思う」とほめられ、服飾の専門学校に進んだ。
ステージ衣装の世界に入ったのは、「その日のためだけに着る服」に魅力を感じたから。22歳だった2005年、AKB48が結成されることを知ると、自分から売り込み、衣装担当に採用された。
00年代から10年代にかけ大ブレークしたAKB48には、主力メンバーになるための激しい競争もあった。
「ステージでは『私が一番かわいい!』と自信を持ってほしい」。同じ衣装でもメンバーごとに装飾を変える工夫を重ね、試着時には悩みも聞いた。衣装で、一人ひとりの気持ちを高めたかった。
最近はステージ衣装の枠を超え、学校や医療従事者の制服もプロデュースする。「着る人の思いに寄り添った『特別な服』を作りたい」。信念は変わらない。
豊臣秀吉に仕えて天下統一を後押しした戦国時代の軍師、黒田官兵衛を敬愛する。「裏方として物語の真ん中にいたい、と思う私に近いものを感じている」
茅野しのぶさんへのインタビュー詳細
チェック柄の組み合わせが特徴的なAKB48の衣装の制作秘話、衣装づくりの魅力、看護師の制服を作るようになった理由……。茅野しのぶさんがインタビューで詳しく明かしてくれました。
――どうしてAKB48の衣装担当に?
自分に自信が持てなかった高校生時代、先生から「服づくりの才能があると思う」とほめられたのがきっかけで、服飾の専門学校に進みました。そこで「その日のためだけにつくる服、ステージ衣装」に魅力を感じました。
卒業してデザイナーのアシスタントをしていた2005年、AKB48が結成されることを知り「おニャン子クラブの楽曲を手がけた秋元康さんと1回でも仕事をしてみたい。まだ衣装担当が決まっていないのなら……」と、自分から売り込んで採用されました。
――ステージ衣装づくりの魅力って?
ドラマチックな場面に立ち会えることです。推しのアイドルのライブを見に行くのを楽しみに生きている人たちもいます。そういう人がステージを見て、「かわいい!」って歓喜したり、泣いたり……。そういう場面って、普通の生活ではなかなか立ち会えません。
アイドルも本気です。人生をかけてアイドルを全うしようとしているので感情が揺さぶられることがとても多いです。ステージでは、普通であれば出ないようなセリフが出てきて、まるで映画のクライマックスシーンのような感動的な場面もあります。それを目の当たりにできることが最大の魅力であり、この仕事のやりがいだと思います。
多彩なチェック柄はこうして生まれた
――アイドルの衣装づくりで大切にしていることは?
アイドルは動いてかわいい存…