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写真・図版
元仙台市宮城野区長の木須八重子さん=本人提供

 多くの人が管理職になることに不安を覚え、「管理職罰ゲーム説」が話題を呼んでいます。しかし、男女共同参画に取り組んできた元仙台市宮城野区長の木須八重子さんは、自身の経験から、今までの指示命令型の管理職像を離れて「『私たち』で進む」寄り添い型のリーダーシップを実践できれば、管理職は魅力的な仕事になると語ります。

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 市役所で課長の頃までの私は「私についてこい」タイプでした。部下に「こういう手順でやって」と指示を放り投げて、期限が迫って達成できていないと「じゃあ私がやる」と引き受けて。持ち帰り残業をして、ヘトヘトになって、でも手柄は部下のものにして。娘には「お母さんって休みの日はいつも家で倒れているよね。なんで職場で『元気な人』と言われているのかわかんない」と言われていました。面倒見のよい管理職のつもりだったのです。

 ただ、部下を育成する観点は抜け落ちていました。後輩の女性たちから「すごい」「頑張っていますね」とは言われても「私もああなりたい」と言われるモデルではなかった。課長がフォローしてくれたから出来たというのは、その人の自信や力にはなりませんよね。いま振り返ると「育てられない管理職」でした。

 何年かして、あるとき気づきました。こんな風に今でいうマイクロマネジメントをやっていて、職位が上がって仕事の範囲が広がり部下も増えて、仕事を代わってあげられなくなったらどうするのかと。ちょうどその頃、出向先から本庁に戻れるつもりが残留になり、同じ仕事が4年目に入って時間の余裕ができたこともあって、大枚をはたいてコーチングを学び始めました。

 これが大きかったですね。リ…

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