伊藤亜和さん=関口聡撮影

 投稿サイト「note」で身の回りの出来事をつづってきた伊藤亜和さんの初めてのエッセー集、『存在の耐えられない愛(いと)おしさ』(KADOKAWA)が話題を集めています。なぜ書き続けるのか、自身のことを知らなかった人にも本が読まれていることをどう思っているのか、聞きました。

著者に会いたい 『存在の耐えられない愛おしさ』 伊藤亜和さん

 マッチングアプリで出会った男性に告白された夜のことや、イスラム教徒の父の前で素知らぬふりして食べた豚肉の味……。22編のエッセーには、半径数メートル以内の私的な出来事が並ぶ。赤裸々に書くことにためらいはない。

 「私だけがこの人たちのことを知っているのはもったいない。世の中にはこんなに面白い人がいるんだぞというのと、自分のことを知ってほしいという思いが半々ですね」

 セネガル人の父と日本人の母との間に生まれた。友達が少なく「完全に孤立した」という高校生のころ、インターネットにのめり込んだ。匿名掲示板「2ちゃんねる」で「ハーフだけど質問ある?」と問いかけ、見知らぬ相手から罵詈(ばり)雑言を浴びた。ツイッター(現在のX)でも同じ目に。でも、とげとげしい言葉は返さない。

 「見た目は私のせいじゃない…

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