私の名前はAntonio、君と話すとワクワクするよ――。SNSを通じて巧みに相手を信用させるSNS型の投資詐欺やロマンス詐欺。被害を防ぐための啓発活動に、岡山県は新年度、LINE上で犯人役の生成AIとやりとりしてだましの手口を疑似体験できるツールを導入する。
昨年の県内のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数(暫定値)は計139件、被害額は約16億7620万円。件数、被害額とも前年比で4倍超えた。「リアル感」を武器に警鐘を鳴らしていきたい考えだ。
導入が予定されているのは、香川県警と通信大手・ソフトバンク(東京都)が昨年、共同開発した仮想体験ツール。携帯電話を使って、犯人役の生成AIとLINEの会話機能でやり取りできる。
香川県警と同社が、昨夏、高松市内で、このツールを使って啓発イベントを開催したところ、「リアル感がある」と参加者から高い評価を得たという。この取り組みは注目を呼び、その後、大阪や宮崎など他の自治体のほか、県内でも今月体験会が開かれた。
「君との会話は心に残る大切な瞬間」 でも、最後は口座紹介
犯人役のAIとのやりとりはどんなものなのか。記者は、ツールの「お試し用」を使わせてもらった。
《こんにちは、私の名前はAntonioです。空を飛ぶことが大好きなパイロット》
開始すると、すぐに会話が始まった。相手に恋愛感情を抱かせて金をだまし取るロマンス詐欺の設定だ。
《君と話すことで、どんな素…