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社会人学生の馬田萌々花さんは「見た目は平らな道でも、傾斜がきつかったり山なりだったりする道はけっこうあります」と話していた=3月19日、岐阜市
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記者コラム 「多事奏論」 前編集委員・伊藤裕香子

 富士山を望む自動車工場跡地に一からつくられる「まち」は、平らばかりが続いていた。

 東海道新幹線のJR三島駅から北へ車で20分も行くと、トヨタ自動車が建設を進める「ウーブン・シティ」が現れる。静岡県東部の裾野市で秋にも動き始める、人も暮らす実験都市だ。

 見学会は1時間ほど、ふだんより足元を気にしないで歩いている。「まち」は道に段差や傾斜、でこぼこを感じず、縁石も見えない。バスは自動運転で走り、ロボットが荷物の各戸までの配送を担う。移動の最新技術を次々に試す「永遠に未完成のまち」。そう説明があった。

 帰り道、歩道の段差につっかかって、思う。誰にとっても暮らしやすい「完成したまち」とは、どんなかたち?

 「車いすは私を自由にしてく…

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