日本政府が外国人受け入れ政策の見直しを始めた。参考になりそうな国の一つがドイツだ。日本が得られる教訓とは。
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「今こそ再移住を」。ドイツ東部ドレスデンで8月、市民団体主催のデモでそんな横断幕が掲げられた。ドイツに流入したシリアなどの難民らを出身国に送り返すという、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のスローガンだ。
AfDは移民・難民の増加で治安が悪化し、福祉システムにも大きな負担だと主張。排外主義的な訴えを強め、流入への不満の受け皿となるなどして、2月の総選挙で初の第2党に躍進した。
ドイツは昨年末時点で1406万人の「外国人」が暮らす移民大国だ。その割合は人口の約16%と10年で6ポイント増えた。外国人の6割超を欧州連合(EU)域外の出身者が占める。
700時間の講習も
国民の間で不満が高まる要因の一つに、後手に回った政府の「社会統合政策」のツケが指摘される。
旧西ドイツは戦後復興期の1950~60年代以降、トルコなどから労働者を呼び込んだ。だが、いずれ帰国する一時的な労働者の扱いで、ドイツ語習得などの統合支援もほぼなく、社会の分断が課題となった。トルコなどからの受け入れは石油ショックを受けて73年に停止した。
その後、高度な資格を持つ外国人材らを本格的に受け入れ、2005年の移住法施行を機に「移民国家」へかじを切った。過去の反省を踏まえ、関連法に「統合の促進」を明記し、移民にドイツ語や基本法(憲法)の理念、社会ルールなどを教える講習も始めた。対象者は入国管理当局が判断し、現在は一般的なコースで700時間を受ける必要がある。
難民危機後、自治体から悲鳴
15年以降、内戦激化などで…