立憲民主党の枝野幸男前代表(60)は21日、国会内で記者会見を開き、党代表選(9月7日告示、23日投開票)に立候補する意向を表明した。正式な出馬会見は枝野氏が初めて。次期衆院選に向け、野党連携のあり方をはじめ、政権交代に向けた具体的な道筋を示せるか問われる。
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枝野氏は会見の冒頭、「失われた30年と呼ばれるほど長期にわたる長い低迷。これを作り出した古い政治に終止符を打ち、新しい時代へ向かって進むときだと考え、立候補を決意した」と表明。「人間中心の経済」として、再分配を重視する政策を打ち出した。
また、自民党派閥の裏金事件を受け、「立憲は政治腐敗を一掃する政党」だとして政治改革に取り組む姿勢を見せた。
次期衆院選に向けた野党各党との連携については、「特定の政党と全国一律で、協力関係を結ぶのではなく、これまで自民を支持しながら、今の自民に呆れ、怒っている人を含め、より幅広い民意を包み込むことをめざす」と語った。
枝野氏は2017年、小池百合子・東京都知事の率いる希望の党騒動で、「排除」されたことを受け、リベラル系議員とともに旧立憲民主党を立ち上げた。この年の衆院選で55議席を獲得、野党第1党となった。21年衆院選では、共産、国民民主、れいわ新選組、社民各党と候補者を一本化したが、議席を減らす結果となり、責任を取る形で代表を辞任した。今回、3年ぶりの再起を図る。
衆院埼玉5区選出の当選10回。民主党政権下で官房長官や経済産業相を歴任した。党内最大グループでリベラル系の「サンクチュアリ」(約30人)の顧問を務めており、同グループが枝野氏支援に向けて調整を進める。
代表選で選ばれる野党第1党の党首は、次期衆院選で「次の首相」候補として位置づけられる。泉健太代表(50)も立候補の意向を固めているほか、党内では野田佳彦元首相(67)や江田憲司元代表代行(68)らの擁立を目指す動きもある。(大久保貴裕)