光免疫療法による細胞死のイメージ=名古屋大の佐藤和秀さん提供

 近赤外光線と光の吸収剤を使い、がん細胞を攻撃する「光免疫療法」の細胞死のメカニズムを明らかにしたと、名古屋大と産業技術総合研究所の研究チームが発表した。特殊な電子顕微鏡で見えた成果は、新たな細胞死のメカニズムと言えるという。

 米国化学会の専門誌に論文(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.5c00104)が掲載された。

 この手法は、がん細胞の表面に特異的に出てくるたんぱく質に、光を吸収する物質「IR700」をくっつけ、近赤外光線を当ててがん細胞を壊す。

 2011年に米国立保健研究所(NIH)の小林久隆博士=関西医科大学付属光免疫医学研究所長=らによって報告された。国内では20年に頭頸部(けいぶ)がんを対象に承認された。手術、放射線治療、化学療法、がん免疫療法に続く「第5のがん治療法」になりうるとして注目されている。

 ただ、光免疫療法でがん細胞に光を当てた後、どのようにがん細胞が壊れるのかというメカニズムが明らかではなく、従来のがん治療法との違いがはっきりしていなかった。

 研究チームは、産総研の小椋…

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