お米を少しでも安く買いたいと願う消費者と、それでは生産費がまかなえないと戸惑う米農家――。米の価格高騰、備蓄米の放出をめぐり、こんな対立が生まれてしまった。
そんな中、米どころの山形で「生産者が生き残るためには、米を安く作る努力も技術も必要」と生産性の向上に挑む人がいる。
米の生産量が新潟、北海道、秋田に続く全国4位の山形。三川町(みかわまち)は、庄内平野の真ん中にある人口7千人あまりの町だ。米農家の斎藤一志さん(68)は、数人の仲間とともに20ヘクタールの田んぼを管理している。
一つの米農家や法人の作付面積の平均は1.8ヘクタール。これに比べてはるかに広い面積を少人数で耕作できるのは、徹底した省力化を追究してきたからだ。
たとえば、水田に苗を植えるのではなく、水を張らない畑の状態で種もみをまく「乾田直播(かんでんちょくは)」という農法。苗を育てる手間が省け、通常の田植えよりも作業が簡単だ。17ヘクタールでこの方法を採用し、担当者1人で管理しているという。
ICTを駆使
米の字になぞらえて「八十八…