GPS操舵システムを搭載したトラクターと斎藤一志さん=2025年6月23日午後3時22分、山形県三川町、安斎耕一撮影

 お米を少しでも安く買いたいと願う消費者と、それでは生産費がまかなえないと戸惑う米農家――。米の価格高騰、備蓄米の放出をめぐり、こんな対立が生まれてしまった。

 そんな中、米どころの山形で「生産者が生き残るためには、米を安く作る努力も技術も必要」と生産性の向上に挑む人がいる。

 米の生産量が新潟、北海道、秋田に続く全国4位の山形。三川町(みかわまち)は、庄内平野の真ん中にある人口7千人あまりの町だ。米農家の斎藤一志さん(68)は、数人の仲間とともに20ヘクタールの田んぼを管理している。

 一つの米農家や法人の作付面積の平均は1.8ヘクタール。これに比べてはるかに広い面積を少人数で耕作できるのは、徹底した省力化を追究してきたからだ。

 たとえば、水田に苗を植えるのではなく、水を張らない畑の状態で種もみをまく「乾田直播(かんでんちょくは)」という農法。苗を育てる手間が省け、通常の田植えよりも作業が簡単だ。17ヘクタールでこの方法を採用し、担当者1人で管理しているという。

使っている農機具は海外製が多い。「大規模農地で効率的に作業するには最適」と話す斎藤一志さん=2025年6月23日午後3時22分、山形県三川町、安斎耕一撮影

ICTを駆使

 米の字になぞらえて「八十八…

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