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挑戦権獲得後、万感の表情でうつむく杉本和陽五段=2025年4月25日午後8時11分、東京都渋谷区の将棋会館、北野新太撮影

 将棋の第96期棋聖戦挑戦者決定戦(産経新聞社主催)が25日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、杉本和陽(かずお)五段(33)が永瀬拓矢九段(32)に勝ち、藤井聡太棋聖(22)=名人・竜王・王位・王座・棋王・王将と合わせ七冠=への挑戦権を獲得した。初のタイトル挑戦となる。同日付で規定により六段に昇段した。

 現在、名人挑戦中の強敵を破って五番勝負への切符を手にした杉本新六段は「棋士になった時には自分がタイトル戦に出るのは想像しがたい部分がかなりあったんですけど、腐らずやってきてよかったと思います」と震える声で語り、五番勝負に向け「人生でなかなかない機会だと思うので、できることを全てやって臨みたいと思います」と述べた。

 杉本新六段は東京都大田区出身。2017年、年齢制限(26歳)に近づく25歳で棋士になった。これまで棋戦優勝、順位戦昇級などの大きな結果を残してはいないが、振り飛車党の俊英として高勝率を誇ってきた。

 先崎学九段(54)、中村太地八段(36)らと同じ故・米長邦雄永世棋聖門下。名人を始めタイトル獲得19期の名棋士の弟子で最後にプロ入りした俊英が大舞台に躍り出た。師匠が永世称号を獲得したタイトル戦の舞台で七冠に挑む。

 棋聖戦は優勝賞金が4千万円まで大幅に増額されたことが今月22日に発表された。五番勝負は6月3日、栃木県日光市で開幕する。

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