主な構成要素がすべて国内で開発・製造された144量子ビットの「純国産超伝導量子コンピューター」が大阪大学で稼働した。製造に必要な技術が国内でそろい、統合して動くことが示された。量産化や大規模化の出発点となりそうだ。大阪・関西万博では、クラウド経由で操作体験ができるという。
量子コンピューターは、ミクロな世界の物理法則である「量子力学」をつかった次世代計算機。量子特有の「0と1の重ね合わせ」状態を利用することで、計算が飛躍的に高速化できるとされる。
基本部品である「量子ビット」の種類で方式が分かれるが、世界的に開発が盛んなのは、超伝導回路でつくる「超伝導量子コンピューター」だ。
超伝導量子ビットは、理化学研究所量子コンピュータ研究センター長の中村泰信さんらが、1999年に世界で初めて実現。2023年には理研などが開発した64量子ビットチップ搭載の国産初号機が誕生した。
ただし、量子ビットがのったチップはあくまで計算機の心臓部。ほかにもユーザーの指令を量子ビット上の計算に翻訳するソフトウェアや、ケーブルを介して量子ビットと信号をやりとりする「制御装置」、正しく計算するためにチップを極低温にする「希釈冷凍機」などが必要だ。理研の初号機は主な構成要素のうち、希釈冷凍機が海外製だった。
純国産機は7月28日に阪大で稼働を始めた。チップ、制御装置、ソフトウェアに続き、希釈冷凍機も国産に成功。これで主な要素すべてが日本製になったという。
企業の技術を集結、日本式開発でトップを狙う
この冷凍機は、低温機器など…