小薗井(おそのい)陸也さん(18)は小学1年の時、本気の「応援オタク道」を歩み始めた。神宮球場で、早大野球部の応援に心をわしづかみにされたのだ。
早稲田実業学校の初等部に入学してすぐのころ。父が「早実に入ったんだから、行ってみようか」と、東京六大学野球のリーグ戦に連れて行ってくれた。
- 紺碧の空、響かせてみせる 早大野球部の応援オタクが甲子園の舞台へ
どんな試合だったかは、もう覚えていない。でも、応援が楽しかったことは覚えている。応援団の大学生が小さな自分にやさしく声をかけてくれて、選手を出待ちすると「かわいい」の声の嵐。毎週末、神宮に通うようになった。
重信選手がかけてくれた優勝メダル
初めて覚えたのは、得点時に歌う「紺碧(こんぺき)の空」。隣の大人と頑張って肩を組み、激しく揺れた。応援歌や応援曲を次々と覚え、学ラン姿のリーダーの動きも「完コピした」。応援団の誘いのもと、小さな少年は応援団の横に立ち、観客の前で大きく腕を振った。
優勝も何度か経験した。小学3年の時、早大が全日本大学野球選手権で優勝した時は、「推し」だった重信慎之介選手(現巨人)に優勝メダルをかけてもらった。当時は、早実出身でもある重信選手の足の速さや打撃力に圧倒された。ほかに、茂木栄五郎選手(現楽天)の長打力も印象に残っている。その年のリーグ優勝時は、優勝パレードで選手の中に交ざり、神宮から大学まで歩いた。応援に夢中で、実はあまりプレーは見られなかったけれど……。
「この応援の中でプレーしたい」
応援を極め、選手のモノマネをしているうちに、野球がしたくなった。
小学2年でプロ野球球団の野…