アナザーノート 木村裕明記者
1月の連載記事「現場へ! 終わりなき育児に希望を」を取材班の一員として担当した。子の成長とともに負担が軽くなる健常児の子育てと違い、障がい児や医療的ケア児の子育ては年齢で区切れないことが多い。働きながら「終わりなき育児」に向き合う人々を紹介し、多くの反響が寄せられた。連載で取り上げきれなかったエピソードや後日談を紹介したい。
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「下の子の生活が整うまで、来春から休職しないといけないだろうか」。電機大手パイオニアの川越事業所(埼玉県川越市)に勤める40代の女性は昨年、思い悩んでいた。
いずれも発達障がいがある高校生と小学6年生の2人の子の育児と仕事をなんとか両立してきた。下の子は小1の頃から前向きに自力で学校に通うのが難しく、登校に付き添う日々を送ってきたが、育児を理由とする短時間勤務制度は小6の年度末までしか利用できない。
定時の勤務は午前8時35分から午後5時20分まで。出勤を1時間繰り下げ、退勤も1時間繰り上げる形で時短勤務を続けてきた。下の子が中学に進んでも登校への付き添いが必要な状況が続きそうだが、4月から時短勤務はできなくなる。登校に付き添ってからでは所定の出勤時間にはとても間に合わない。
下の子は小5から不登校気味になり、学校に行けない日や、登校しても教室に入れない日も出てきた。登校できない日は同じ事業所で管理職をしている夫か自分が在宅勤務をする必要があるが、仕事は製造現場の間接業務で、現場を見ることが欠かせない。在宅勤務を増やすと回らない仕事だ。育児との両立は一段と難しくなっていたが、仕事は続けたかった。子どもに金銭面で負担をかけずに暮らしたいし、好きな仕事を通じて社会とつながっていたいという気持ちもあった。
座談会きっかけ、動いたパイオニア労使
そのころ、会社の労使が障がい児や医ケア児を育てる社員の座談会を初めて開催すると知り、昨年6月に参加した。開発や製造現場、管理部門など様々な職場から男女を問わず11人の社員がオンラインで集まった。
女性は抱えていた悩みを座談…