1945年8月16日。北海道・根室から約1200キロ北東の小さな島に、1日遅れで日本の降伏が伝えられた。
桜の花びらのような形をした、千島列島最北の「占守(しゅむしゅ)島」。
10代の少年兵たちは戦車の主砲を外し、余った燃料を地下に埋めた。最後にごちそうを食べ、島の缶詰工場で働く女性にプロポーズする。
突如、闇の中から砲弾が飛んできた。警告無しの攻撃。相手は、想定していた米軍ではなく、ソ連軍だった。
この春、小学館の月刊誌「ゲッサン」で連載が始まった漫画「極北のゲロイ~8月17日の開戦~」の一場面だ。
舞台となった占守島は、カムチャツカ半島から約13キロ。冬はマイナス15度まで下がり、猛吹雪に見舞われる。北側の砂浜を除いて岩礁と崖に囲まれ、日本軍は米軍の侵攻に備えて島の要塞(ようさい)化を進めていた。
ソ連軍が攻めてきたのは、日…