今でも覚えている情景がある。高階秀爾先生とパリのカフェで待ち合わせたときのこと、コートに身を包み颯爽(さっそう)と現れた先生は、注文したコーヒーに砂糖を入れ、スプーンをゆっくり回し始めた。砂糖が溶けるまで何度も。 その無駄のない優雅な手つきに、私は思わず見とれてしまった(これがフランス文化を身に…