Smiley face
写真・図版
大伴家持と妻の坂上大嬢(おおいらつめ)=2024年7月12日、奈良市二条大路南3丁目、今井邦彦撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 端正に整った顔は無表情なようだが、じっと見つめていると喜びや悲しみ、希望、諦めといった静かな感情が伝わってくる。毛の一本一本まで筆で描かれた髪の生え際、色鮮やかな文様を織りだした衣服……。その細部までの作り込みに、思わずため息がでる。

 SNSで「美しすぎる」と話題になった埼玉県在住の元教師・永瀬卓(たく)さん(75)の人形たちを通して万葉集の魅力を紹介する企画展「万葉挽歌(レクイエム)―人形からみる古(いにしえ)の奈良―」が、奈良市の平城宮いざない館で開かれている。

 永瀬さんは東京教育大学芸術学科で油彩画を専攻し、埼玉県越谷市の中学校に美術教師として36年勤務した。

 そのころ、万葉集の本の表紙を飾る少年の人形に、強く心を引きつけられた。紙塑(しそ)人形の人間国宝・鹿児島寿蔵(じゅぞう)(1898~1982)が作った有間皇子(ありまのみこ)だった。「皇位争いのために死ぬことになった孤独を人形に感じて、自分もいつか作ろう、と思ったんです」

発表はしていなかったが…

 在職中は生徒の指導に全力を…

共有