（23日、第97回選抜高校野球大会2回戦 花巻東6―3二松学舎大付）
- 健大高崎、最後はエース石垣が抑えて8強 敦賀気比は粘るも及ばず
振り切ったバットが背中につきそうなほどの一振りだった。三回1死二、三塁、花巻東の古城大翔は左翼へ高く打ち上げた。「けがで迷惑をかけていたので打ちたかった」。待望の先取点を奪う犠飛となった。
右上腕部の肉離れのため初戦を欠場した4番の一打に、5番・赤間史弥も続く。アッパー気味のスイングで三遊間を破り、二塁走者を迎え入れた。「同学年の古城以上に打ちたい」。2年生コンビで計2点を先行し、流れをつかんだ。
見ていて気持ちの良い一振りはこの冬の練習が支えだ。選手は1日千スイングほど打ち込み、バットを振る際は投手側に突っ込まないように、強く、速く、腰を回転させることを意識してきた。先輩で大リーグ・ドジャースで活躍する大谷翔平が高校時代から取り組んでいた体の使い方だ。
古城は言う。「翔平さんはノーステップ打法で飛距離を出す。自分は力の伝え方を見ていて採り入れてきた」
打撃の基本である振り切る指導は、低反発バットの導入前から徹底してきた。背景には佐々木洋監督の意識の変化がある。「（それまでは）戦術や戦略で勝つようなチーム作りだったが、甲子園では打てないと勝てない」
そして、「日本人でも（大リーグで）ホームラン王を取っている。将来の育成を考えるとしっかり振らせたい」。力のある打者には木製バットを薦め、この日は古城、赤間、高橋蓮太郎が使って計4安打。8強一番乗りを導いただけでなく、大きな夢も詰まったスイングだった。
