運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)と美浜原発3号機(同県美浜町)に対する原子力規制委員会による運転延長の認可などをめぐり、福井県や愛知県などの住民が国に取り消しを求めた訴訟の判決が14日、名古屋地裁であった。剱持亮裁判長は「原子力規制委員会の審査及び判断に不合理な点は認められない」などとして、原告側の訴えを退けた。
2011年の東京電力福島第一原発事故を受け、原発の運転期間は原則40年とするルールができたが、規制委が審査の上で認めれば1回だけ最長20年延長できる。高浜1、2号機と美浜3号機はいずれも16年に延長が認められた。原告側は「老朽化した原発は危険だ」などとして同年以降、順次提訴した。
原告弁護団によると、運転40年超の原発の運転延長をめぐり、原発自体の老朽化の危険性に焦点を当てて認可などの取り消しを求める訴訟は全国で初めてだった。訴訟は原子炉等規制法などを踏まえ、認可の前提となる国の審査基準に合理性があるかどうかなどが主な争点となり、提訴から結審まで約8年を要した。
原告側は、国の審査基準は老朽化に伴う原発の危険性を正しく評価できていないなどと主張。放射線による原子炉の劣化度合いが過小評価されており、緊急時に冷却目的で炉に水を入れた場合に急激な温度変化で炉の容器が破損するおそれがあるなどと指摘してきた。
一方、国側は、経年劣化に関する審査基準は「大学や研究機関などの多数の専門家による議論を踏まえて策定されたもので、現在の科学技術水準に照らし合理的なものだ」と反論。基準に沿った規制委の判断過程にも過誤や欠落はないと主張していた。