盆栽の盗難が、相次いでいる。「聖地」といわれる、さいたま市の大宮盆栽村でも被害があり、対策を徹底する盆栽園も。業界団体が把握できただけで、全国で2023年に24件、24年に65件の盗難があったという。なぜ、盆栽は狙われるのか。
「朝起きると、盆栽が無くなっていた」と話すのは竹山浩さん(84)。大宮盆栽村にある盆栽園「芙蓉園(ふようえん)」の2代目園主だ。昨年8月4日未明、園内の盆栽が盗まれた。
庭を見ると普段は閉めている正門が開き、庭を囲む塀に張られた有刺鉄線の一部は破られていた。防犯カメラには、2人組の男が盆栽を運び出す様子が映っていた。
盗まれた盆栽は人気品種の五葉松や真柏など9鉢。被害総額はおよそ300万円だったという。台に固定していたひもをほどいて持って行ったものもあり、竹山さんは「事前に客を装って下見に来ていた」とみる。
盗難後、防犯カメラを6カ所に増やし、塀の上に柵を設置した。夜間は門のかんぬきに内側から南京錠をかけ、門前に車を横付けして盆栽を持ち運べなくするなどの対策をしているという。
以来、盗難は発生していないが、竹山さんは「丹精込めて育てた盆栽を盗まれる悲しみは大きい」と肩を落とす。
なぜ盆栽は狙われるのか。外…