不自然で人工的、誇張されたものを愛好する感性として、批評家スーザン・ソンタグが定義した「キャンプ」。東京・六本木のオオタファインアーツで開催中のグループ展「CAMP」は、クィアカルチャーとなじみ深いこの美意識を通して、権威や帝国主義、ジェンダー規範を笑い飛ばす。

 嶋田美子とブブ・ド・ラ・マドレーヌのユニットは、明治時代をモチーフに選んだ。鹿鳴館に象徴される欧化政策によって西洋列強を懸命にまねた時代を「キャンプ」とみなし、ドラァグクイーンよろしくペリーや天皇に扮した写真を、錦絵風の背景にコラージュ。「脱亜入欧はハリボテの思想。憧れに実態が伴っていないのに、日清・日露戦争に勝ったからと調子に乗って他国を侵略した」とブブさんは言う。錦絵をすごろくに見立てたのも、歴史を「日清戦争からやり直す=振り出しに戻す」ための趣向だという。

嶋田美子+ブブ・ド・ラ・マドレーヌ「明治怒羅亜愚反帝戯画双六」(2025年)
Copyright of the artist. Courtesy of Ota Fine Arts.

 歴史修正主義が幅を利かせる…

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