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北洋銀行の津山博恒頭取=2024年5月21日午後1時7分、札幌市、日浦統撮影

 北洋銀行の津山博恒(ひろのぶ)頭取は4月の就任以来初めて、朝日新聞の単独インタビューに応じた。詳細は以下の通り。

  • 「ラピダス進出、北海道の人口減食い止める可能性」北洋銀の津山頭取

 ――半導体会社のラピダスの進出を受けて北海道はデジタル・半導体関連産業振興ビジョンを策定し、産官学で人材の育成や関連企業の誘致を目指しています。北洋銀行はどう関与しますか?

 「すでに北海道庁に2人、千歳市役所に1人、北海道経済産業局に1人ずつ行員を出向させており、道の半導体人材育成推進協議会にも参画している。企業誘致では東京支店に成長戦略企画室員を常駐させて道内に進出意向をもつ本州の企業ニーズを聞き取り、ビジネスマッチングにつなげている。土地や建設事情に関する相談も相次いでおり、道央だけでなく、道南やオホーツクまでマッチングの対象企業は全道に広がる可能性を実感している」

「2023年度だけで半導体関連事業者約150社と接触し、融資金額(予定を含む)は400億円まで積み上がった。来年の試作ライン稼働が近づくにつれて案件は増えている。ラピダスから距離のある地域についても、こんな補助金が出る、こんな施策がある、工業用地にこれだけの余地があるといった情報の紹介を加速させる。ラピダスをきっかけに製造業に限らず、いろんな業種の企業が北海道に興味を持っている。『ぜひ北海道へ』という形で誘致していきたい」

 ――国が1兆円規模の補助金を出して支援するラピダスには、人材不足や地元波及効果は少ないのではとの不安も一部にあります。

 「道内の人口減は社会減が一因だ。毎年、20代の若者が5千人規模で道外に流出している。この事実は重い。道内に受け皿となる企業があれば、若者が残る。結婚して子供もできれば、将来の人口増にもつながる。ラピダスには社会減を食い止める可能性がある」。

 ――不確実性が高い最先端半導体ではなく、収益が得られるビジネスから取り組む方が堅実ではないかと指摘する専門家もいます。

 「そういう心配の声はわかるし、リスクは我々も認識している。ただ、既存の半導体には既存のプレーヤーがいる。競争力という点ではそこに新規参入してもなかなか太刀打ちできない。新しいもので基礎的な素地があるものなら、チャレンジすることが大事ではないか。今年7月に開く『ものづくりサステナフェア』では半導体コーナーを新設する。もっと道内企業に関心をもってもらい、半導体だけでなく、周辺分野にも進出できる分野があるという機運をつくっていきたい」

記事後半では、半導体で先行する九州と比べた北海道の利点、「GX(脱炭素化)金融・資産運用特区」、威圧的な言動が批判されている長谷川岳参院議員の評価、人口減が進む道内での金融機関の再編可能性について、語っています。

■半導体で先行する九州にキャ…

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