Smiley face
写真・図版
浦和実―聖光学院 一回裏聖光学院2死二塁、打席に立つ竹内=伊藤進之介撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 (26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝、聖光学院4―12浦和実、延長十回タイブレーク)

 聖光学院(福島)の主将、竹内啓汰選手(3年)は、この試合に巡ってきた4打席すべてで相手投手のボールを捉え、外野まで飛ばした。だが、いずれも外野手の正面を突いた。「運がなかったと言えばそうだけど、足りないものがまだあるということなんだと思う」

 チームの主将に任命されたのは昨年8月。率先してチームを牽引(けんいん)するというより、ほかの選手をもり立てる役回りを担ってきた。自分が目立つ前に仲間の活躍を第一に考える、控えめな主将だった。試合後の主将インタビューの口癖は「負けなくてよかった」。

 チームは昨秋の福島県大会と東北大会で優勝したが、続く明治神宮大会では屈辱のコールド負け。選抜大会出場は決まったものの、斎藤智也監督には「今のままでは勝つのは難しい」と言われた。

 竹内選手は仲間を鼓舞し、自身もきつい練習に耐えた。練習で守備や走塁のミスがあれば、原因を皆で話し合い、意識の共有を図るよう努めた。

 迎えた今大会。前評判を覆すように、先取されてもしぶとくボールにくらいつき、勝利を重ねた。竹内選手も前日の2回戦は3安打3打点の活躍で、勝利の立役者となった。

 準々決勝も3点差を追いつく粘り強さを見せたが、延長で力尽き、1、2回戦のような逆転勝利を呼び込むことはできなかった。チームが信条とする粘り強さも、相手が上回った。「勝利に対し貪欲(どんよく)になるためには、自分がもっとチームを引っ張っていかなきゃならない」。夏に再び戻ってくるため、やれることは何でもする。涙をこらえながら、再起を誓った。

共有