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新校歌「光る明日へ」の歌唱練習に励む束荷小の児童ら=2025年2月14日午前8時17分、光市束荷、三沢敦撮影
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 山口県光市の小中学校再編計画にともない、4月に開校する小中一貫校「やまと学園」大和小の校歌を、シンガー・ソングライターの川嶋あいさん(38)が作詞・作曲した。校歌「光る明日へ」に、川嶋さんは願いを込めた。「どんな時も自分の可能性を信じて」

 福岡市出身の川嶋さんは一時、光市で過ごしたことがある。

 実母を亡くした川嶋さんを3歳から育ててくれた養母が死去した際、光市出身の所属事務所社長に勧められた。短い滞在をきっかけに、川嶋さんは光市への愛着を深めていったという。

 「I WiSH」のボーカルとして「明日への扉」をヒットさせた川嶋さんはデビューから6年後の2009年、光市民ホールでコンサートを開いた。光高校吹奏楽部や児童合唱団ひかりと共演した。

 そんな川嶋さんに、光市教育委員会が新校歌の作成を依頼したのは、昨年7月。光市との縁に加えて、川嶋さんが三条市立嵐南小(新潟県)の校歌を手がけた実績も決め手だった。

 川嶋さんの校歌には、大和小に統合されるため、3月で閉校になる四つの小学校(束荷(つかり)、塩田、三輪、岩田)に通う児童や地域住民の思いも盛り込まれた。

 「ふるさと」「石にかがやく空の色」「元気なあいさつ」「未来へはばたけ」といった言葉は、児童が考えた。さらに、旧大和町の町木キンモクセイや町花アジサイ、光市束荷出身で初代内閣総理大臣の伊藤博文を指す「藤公(とうこう)」といった地域住民に愛着のある言葉もちりばめられている。

 川嶋さんは、校歌に込めた「想(おも)い」を市教委に寄せた。

 「いくつもの壁や困難にぶち当たった時、どうか自分の可能性を信じ続け、自分自身のことを大切にする気持ちを忘れないでほしい」

 「あたたかな愛すべき故郷が、いつも心にあるんだということを感じてもらえたら。この歌を口ずさむことで、少しでも心が優しく前向きになってもらえたら」

 校歌はこう結ばれている。

 大和 大和 自分にあきらめないで

 希望はどんなときにも 僕の中で生まれる

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 大和小に統合される各校の児童たちは、新校歌の練習に励んでいる。

 束荷小では、午前8時10分からの「朝の会」を使って練習中。教室ごとにCDでメロディーを流し、歌詞を表示したモニターを見ながら声を合わせている。

 4年生の宇佐見寿乃さんと水野蒼太さんは「明るくて楽しい歌。他校のみんなと一緒に歌うのが楽しみ」。

 束荷小の児童は、2年生以上の計17人。3・4年生と5・6年生は複式学級だ。統合後、大和小の児童数は200人ほどになる。4年生の大内讃爾(さんじ)さんは「友達をたくさんつくりたい」と話す。

 福田康子校長は「ふるさと束荷への思いを大事にしながら、新しいチャレンジをしてほしい」と語った。

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 〈光市の小中学校再編計画〉 2042年ごろまでに、全11の市立小学校を中学校区ごとに順次統合し、五つの施設一体型・小中一貫校に再編する。児童生徒が減るなかでも、一定の学校規模を確保し、教育環境を充実させるのが狙い。まず、束荷、塩田、三輪、岩田の4小が統合し、大和中との「やまと学園」が4月に開校する。28年度をめどに完成する大和中の新校舎に小中学校が同居する。それまでは岩田小の校舎を使用する。

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