様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される外部媒体「theLetter」で2024年6月15日に配信された記事です。

 大学時代のことです。当時京都で一人暮らしをしていた僕は、少し異様なほどに音楽と映画と本に没入していました。音楽は今でも実家に数千枚のCDが残っていますし、その頃買った本も同じく実家に何千冊と残っています。映画もTSUTAYAでセールの時にまとめて何十本もレンタルしては、1日に二、三本見る、みたいなことを大学時代ずっとしていました。大学1、2年の頃は、多分年間に200本は映画を見たと思います。本も1日一冊を日課にしていました。音楽は歩きながらずっと聴き続けていました。

 とにかく、飢餓感が強かった。何かを摂取しなければいけないという、ほとんど焦りのような感覚。今を逃したら、もう時間がないという妙な強迫観念。そんな状況だったので、所持金は常にギリギリ、日々のご飯は大学の生協で14時から17時の間に開かれる一食400円のフリービュッフェでしのぐ毎日でした。

「theLetter」とのタイアップ企画

様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される「theLetter」と朝日新聞がタイアップして、一部コンテンツを配信します。この連載では写真家で文学研究者である別所隆弘さんの写真への思いなどを記した記事を配信します。

 16時頃に生協に行って、大きなお皿に唐揚げをとにかく山盛り乗せて、ご飯もまたどんぶりに山盛り。400円で取れるだけのカロリーを摂取して次の日までしのぐ。そんな生活をしていたので、一人暮らしを始めて4カ月経った頃に栄養失調で体がおかしくなりました。全身に赤い発疹が現れて、息が苦しくなり、病院に行ったら「栄養が偏っている状況やね」と言われて、点滴を打たれたのを覚えています。

写真家・別所隆弘さんのレターから

 そんな状況に陥るくらいに…

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