和歌山市出身の作家有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」が舞台化されることになり、青洲の妻加恵を演じる俳優大竹しのぶさんが11日、青洲と妻が生きた紀の川市を訪れた。
大竹さんは、和歌山県立高等看護学院の入学式にサプライズゲストとして登場し、出席者の歓声に包まれた。最初の夫を病気で亡くしたときに看護師に優しい言葉をかけられた体験を語り、「みなさんの言葉は患者と家族の支えになっていることを忘れないでほしい」とエールを送った。
江戸時代の医師で現在の同市西野山に生まれた華岡青洲(1760~1835)は麻酔薬を研究し、世界初の全身麻酔による乳がん摘出手術に成功した。舞台「華岡青洲の妻」は、人体実験に協力した妻と母の争いと献身を描いた作品だ。
大竹さんは華岡家の墓や、青洲の住居と診療所だった春林軒も訪れた。取材に「青洲は人のために一生懸命生き、それを支えたのが加恵と於継(母)なんだなと分かった。和歌山の風土や穏やかな言葉の中にある芯の強さを感じ取ることができた」と話した。
「華岡青洲の妻」(松竹)は京都、福岡、東京で7、8月に上演される。