Smiley face
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店の常連だった男性客の自宅を訪問し、髪を切る福嶋友美さん(左)=2024年12月31日午前11時14分、東京都世田谷区、中村英一郎撮影

 外出が難しい高齢者を対象に、理容師や美容師が自宅や施設に赴いてヘアカットをする訪問サービスの利用が広がりをみせている。東京都内の多くの自治体では、利用者の負担を補助する制度を導入。「きれいになって、気持ちよく過ごしたい」という思いに応えようと、街の理美容店も張り切っている。

大みそかの玄関で散髪

 「いやー、さっぱりした。感謝です」。2024年の大みそかの午前中。東京都世田谷区の男性(98)は、自宅の玄関で散髪を終えると笑顔になった。元日には親族など大事な来客がある。「これで準備万端、100点です」とうれしそうに話した。

 男性は60代の長男夫婦らと4人暮らし。1年半ほど前まで、自宅から約1キロの距離にある区内の理容店「ヘアスタジオF&F」に、家族の車の送迎で通っていたが、足腰が弱って店に行けなくなった。現在は毎月1回、同店の訪問サービスを利用している。

 理容店の2代目店主の福嶋仁さん(72)によると、同店は店舗に来られなくなった常連客のため、20年以上前から訪問での理容サービスを続けている。現在は次女の友美さん(37)が店に加わり、店舗営業のかたわら、月に2~3回は高齢者宅での訪問サービスを行っている。

客の高齢化、「あと何年通えるのか」……

 友美さんは「お客様は、冗談…

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