「被爆体験者」訴訟で、カギとなったのは、長崎で降雨や灰などの放射性降下物が降り注ぎ、健康に影響をもたらしたのかどうか、だった。開業医として住民に独自の調査をして、原告らを支援してきた医師がいた。
「率直なところ、素直に喜べません」。判決後の原告集会で、地元の医師、本田孝也さん(68)は複雑な心境を語った。
広島原爆では広域で「黒い雨」が降ったことが認められている。だが、長崎原爆では、雨を含めた放射性降下物が広い範囲で生じ、健康に影響をもたらしたことについて、国側は疑問視してきた。
これに対し、放射性降下物による健康被害の可能性を指摘した専門家の一人が本田さんだった。
本田さんは慶応大医学部を卒…