不妊治療や子育てに悩んだり、パートナーとけんかしたり。親である、親になろうとしている同性カップル4組を1年半にわたって撮影したドキュメンタリー映画「ふたりのまま」が完成した。
性的マイノリティーの出産や子育てを支援する一般社団法人「こどまっぷ」代表の長村さと子さん(42)が撮影、監督を務めた。自身も同性パートナーとともに、知人からの精子提供で生まれた3歳の子どもを育てている。
映画に登場する1組は不妊治療に臨み、3組は第三者からの精子提供で生まれた子どもを育てている。子どもの年齢は新生児から17歳までと、置かれた状況は様々だ。
女性が、シングルマザーのパートナーとその子どもと同居するため、引っ越しをする場面。「親になるというよりは信頼関係を作りたい」と不安げに答える。同性カップルの下で育った17歳は「親とは何か」と問われ、「私の中で家族だと思う人はみんな親です」と語る。
4組のような同性カップルは、子どもが差別や偏見にさらされることを恐れて周囲にカミングアウトできず、「見えない存在になっている」と長村さん。社会に漂う「正しい」家族像に合わせるため、自身もこれまで「子どもを持つに値する、お手本のような家族と周囲に証明するように、弱さや不安を極力見せないようにしてきた」。
だが、実生活では子どもに泣かれたり、パートナーとけんかしたりもする。「当事者の存在と、ありのままの姿を知って欲しい。自身の近くにもいるかもしれないと感じてもらい、無知から来る差別や偏見を一つでも減らしたい」
映画は9月20日から新宿の「K’s cinema」で上映される。長村さんは、上映する映画館を増やすため、配給宣伝費用を募るクラウドファンディングを行っている。7月31日まで。詳細はホームページ(https://motion-gallery.net/projects/twomams)へ。