31日は「国際トランスジェンダー可視化の日」。生まれた時に割り当てられた性別と異なる性別で生きる人たちの姿を知らせ、直面する課題を伝える日だ。「見える」存在へ変わりつつある今だからこその困難にも、苦しんでいる。
「写真は……、載せたくないですね。どう広まるか、やっぱり怖いですから」
大阪府内に住む山田芳枝さん(63)は、記者の取材にそう答えた。「自分のアイデンティティーで生活できるように守りたい」と、ためらいがちに言う。
生まれてから現在まで府内で暮らしてきた。中学生のころ、男女で分かれた体育の授業で、「女の子みたいにブルマで踊れたらいいのに」と思った。「自分は変な男子」と感じていた。
高校は私立の男子校へ。ずっと理科が好きで、関西大学で応用化学を専攻し、大学院に進んだ。修士課程を終え、殺菌剤メーカーの研究職に就いた。
女性用の服を着るようになっ…