能登半島を襲った21日の豪雨で、石川県輪島市久手川町で安否不明になっている中学3年生の女子生徒の父親が22日午後、被災した当時の状況を報道陣に語った。
父親によると、家族は5人暮らしで、21日朝は中3の娘だけ家に残っていた。仕事に出ていた父親は近所の人からの連絡で自宅周囲に水があふれていることを知り、娘に午前9時40分ごろに電話。娘は寝ていたらしく、窓の外を見て「海みたいになっている」と父親に言った。2階から外に出ようとしたが、扉が開かないという。父親は「開かないならそこにいるしかないな」と声をかけた。10時過ぎにまた電話したが、つながらなかった。
父親は自宅へ向かったが、市内は冠水しており、徒歩でようやく近くに着いたのは午後1時半ごろ。だが、自宅はすでになく、基礎部分だけが残されていた。娘の名前を呼んだが、返事はなかった。
父親は消防団員だが、22日は現場近くで仲間や警察の捜索を見守った。「自分も捜索したいけれど、ヘルメットもみな流されてしまってできない」
父親は娘について「優しい子で、絵が上手で歌も好き。とにかく頭が良い」と言う。「とにかく見つかってほしい。見つかったら抱きしめたい」