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 北海道・旭川にクール・ジュネスという合唱団がある。もともとは指揮者の児玉かおり先生が勤めていた中学校合唱部の卒業生によって結成したグループが母体で、その後、彼女の教員仲間や歌好きな大人たちも加わって20年ほど前に誕生した。

 ジュネスは青春時代とか若者などを意味するフランス語。進学先に合唱部がないけれど歌い続けたいという若者のための場になれば――。そんな願いが団名に込められている。

 地方合唱団の常として、進学や就職で合唱団を離れる若者が多く、現在では大人主体のメンバー構成に変化しているが、児玉先生を慕って合唱を続けている教え子も残っている。中には演奏会のためにわざわざ進学先の東京から駆けつけて歌声を支えてくれる大学生もいるとのことだ。

 私とクール・ジュネスのお付き合いは10年ほど前に編曲委嘱をいただいてから始まり、そのあとも時々練習にお邪魔して親しくしている。

 去る2月、創立20周年を記念する演奏会のために雪景色の旭川を訪ね、練習の成果を拝聴した。中でも拙作「生きる理由」(詩・新川和江)の熱演が心に残った。「歌いつくせない 喜びの歌 悲しみの歌」の詩の通り、20年分の思いが詰まった合唱だった。

 満ち足りた気持ちでコンサー…

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