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壁の光センサーが輝くスーパーカミオカンデの内部。観測時は5万トンの水がためられる=2018年、岐阜県飛驒市神岡町

 スーパーカミオカンデのグループ代表者を務めるなど、日本のお家芸とも言えるニュートリノ研究をリードしてきた東京大学宇宙線研究所の前所長、中畑雅行さん(65)が紫綬褒章を受章することが2日、発表された。

  • 「ただでは引き下がらぬ」 世紀の発見を導いた小柴流の神髄

 あらゆるモノを通り抜ける幽霊のような素粒子「ニュートリノ」。小さな粒子の正体から、広大な宇宙の謎を探る研究を40年以上続けてきた。「分かったことはまだ序の口かも。まだまだ未知の世界が広がっている」

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中畑雅行さん=本人提供

鉱夫の寮に寝泊まり、カミオカンデ建設

 シンプルな式でこの世を記述する物理学に魅せられ、東京大の小柴昌俊さん(2002年ノーベル物理学賞、20年死去)の研究室へ。1年先輩の梶田隆章さん(15年ノーベル物理学賞)らと岐阜の鉱山で観測施設「カミオカンデ」の建設に没頭した。

 当時、鉱山は現役。鉱夫の寮に寝泊まりしながら、ニュートリノをとらえる光センサーを設置した。だが将来の不安もあり、教師になるための教育実習にも行った。

 カミオカンデは1983年に稼働したが、当初の目的である「陽子(ようし)崩壊」の現象は全然見つからなかった。「宇宙のすべての力が一つの方程式で書ける『大統一理論』を、実験で証明できると小柴さんに聞いて研究室に入った。新たな発見は簡単ではないとわかった」

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大学院生だった中畑雅行さん(後列)。小柴昌俊さん(前列右)と戸塚洋二さん(同左)らとカミオカンデで1984年ごろに撮影された=中畑さん提供

 小柴さんはすぐ動き、狙いをニュートリノに変えた。「でも大がかりな装置の改良が必要で、実際、3~4年の血のにじむような努力が必要でした」

 研究者としての覚悟が決まったのは大学院博士課程3年の1987年だった。改良を決めた小柴さんの狙いが当たった。

ノーベル賞につながる信号見つけた

 16万光年先から超新星爆発に伴うニュートリノが飛来し、データの中から到来を示す11個の信号を解析の責任者である自分が見つけた。「これ本物だ」と感動した。

 「ニュートリノは宇宙誕生の最初の瞬間を教えてくれるメッセンジャー。魅力的で面白い」。後継のスーパーカミオカンデで、太陽から飛んでくるニュートリノが予想より少ないという謎も解明した。

 宇宙のはるか遠くで起きた超新星爆発も観測できるよう装置も改造した。

「99%はだめ。成功するのは1%」

 研究は行き詰まりの連続だ。「99%はだめで解決に追われる。成功するのは1%。でもだからこそ喜びも大きいです」。その1%を夢見て、宇宙の神髄に迫る粒子を追い続けている。

 いま、待ち望むのは初代カミ…

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