塩原恒夫さん

 「こんにちは」と「さようなら」を同時にやってのけました。中山競馬場、絵になる乙女ジェンティルドンナ!!!――。競馬を知らなくても気持ちが高ぶる。レトリックを駆使した実況で「詩人」と呼ばれるアナウンサーの塩原恒夫さん(61)の語りは、視聴者の気持ちをつかんできた。話芸とも言える実況は、どうやって生まれたのか。

 ――実況にひかれたきっかけは。

 子供の頃に見た映画やテレビのナレーションの影響が大きいです。特に特撮ドラマ「ウルトラQ」(1966年)の石坂浩二さんのナレーションが大好きでしたね。

 ――スポーツから入ったわけではないんですね。

 小学5年生の時、長嶋茂雄さんの引退セレモニーの中継で大観衆が熱狂した様子に感動しました。運動神経はからっきしダメでプレーヤーになるのは早くからあきらめがついていたんですが、スポーツってやっぱりすごいなと。

 それから「ミスターショウアップナイター」と呼ばれた深沢弘さんらのラジオ野球実況を毎日聞いて、そのリズムを体にしみこませました。

 ――そこから、一気にアナウンサーの夢が開くと。

 いや、高校と大学は映画にはまって、まったくそんなことは無かったんです。007やスピルバーグの映画のサスペンスフルな語りなんかを聞いて「いいな」とずっと思っていました。

  • 元NHKアナ山川静夫さんが語る実況の妙「大事なことは芝居と同じ」

今春からはネット配信「SPOTV NOW」で大リーグ実況をしている。後半では、ネット時代の実況の役割について語ってもらっています。

 就職では映画関係の道に進み…

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