トランプ米大統領は20日(日本時間21日)、首都ワシントンで開かれた就任式で30分以上にわたる演説をした。8年前の第1次政権就任前からトランプ氏に注目してきた専門家に聞くと、大きな変化や、演説に込めた細かな狙いが見て取れるという。
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上智大学の前嶋和弘教授(米国政治)
過去の大統領の就任演説は、自身が持つ理念を高らかに宣言することが多かった。しかし、トランプ氏の演説は、平易でわかりやすい言葉を使い、自身を褒める内容で占められた。まるでこれまでの選挙演説のまとめのようで、保守派の支持層を固めている印象だ。支持層は歓喜しても、一方はしらけるという「力強い言葉」ながら「多難な前途」を感じさせるものだった。
演説では不法移民対策を訴え、米国が建設したというパナマ運河について、中国が運営しているとあおった。不法移民と中国はトランプ氏の「マジックワード」だ。移民は都市に多い一方、共和党支持者は地方在住の傾向があり、支持層は、直接に会ったことが無い人も多い。不法移民も中国もともに、リアリティーが無いからこそ恐怖をあおって、支持を引きつけている。
「性別は男性と女性の二つだけだ」と多様性も否定した。政策だけでなく、現代的な価値観の否定であり、大国の大統領の就任演説としては非常に異質だろう。
大統領に不可欠な「説得する力」見えず
逆に多く語らなかったのは…