熊本市の慈恵病院は日本で唯一、病院の担当者のみに身元を明かして出産する「内密出産」に取り組んでいる。
希望する女性たちに最初に接するのが、新生児相談室。常勤6人、在宅もあわせると12人の相談員がメールや24時間態勢の電話窓口で相談に応じる。
「誰にも相談できない」「どうしていいかわからない」――。助けを求める言葉は短い。相談員の西森ゆきさん(53)は「その短さや文面からせっぱつまっている感じが伝わってくる」と話す。深夜に「陣痛が来たかも」と電話がかかってくることもある。
「ここにつながるまで大きな葛藤や不安があったと思う。まずは連絡をくれたお礼を。そして『つらかったですね。選択肢はいろいろありますから、一緒に考えていきましょうね』と声をかけます」
病院では2007年から、親が育てられない子を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」に取り組んできた。事例が重なるなかで見えてきたのは、預け入れに来る女性の多くが医師らの立ち会いがない孤立出産をしていることだった。
望まぬ妊娠に悩み、孤立出産に至る女性たちがいる。どう子と女性の命を守り、支援するのか。韓国と日本の取り組みを追った。
蓮田健院長(58)は「孤立…